酵母によって糖質が分解されるのに、なぜ甘口ワインが出来るのか?

甘口ワインを作る方法は大きく三種類に分類できます。

つまり甘口ワインが出来る理由には大きく分けて3つの要因があるということですね!

1、ぶどうを糖度が高くなるように栽培する
2、発酵を途中で止めて糖分を残す
3、甘味を添加する

 

酵母が糖質を使ってアルコール発酵するのは前回のワインってどうやって作る - 49ers工藤将法のワインと幸福論で説明したと思います。

酵母の働きに関しては、発酵させて、アルコールと二酸化炭素に変えてしまうというものでした。

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生物が死後、自己の体内に保有する酵素により体の成分を分解する事を自己消化といいます。

ゆっくりと自己消化が進行すると旨味が強くなります。

それではワインではどうでしょうか。

サッカロミ(マイ)セス saccharomycesは酵母の一群ですが、発酵食品には欠かせないパン酵母ビール酵母、ワイン酵母等があります。酵母は酸素O₂と糖の存在で活発に活動をしますが、酸欠状態になると発酵という低代謝状態になります。

この時にアルコールと二酸化炭素が発生します。

サッカロミ(マイ)セス saccharomycesによる発酵では糖度の半分のアルコール度数になります!

元々のぶどうの糖度が高ければ、甘いワインが出来るというわけですね!

貴腐ワインアイスワインはわかりやすいですが、ぶどうの品種で糖度の高いものを探すのもいいと思います!

 

また、酵母はエサとなる糖が不足すると自己消化を起こし、自らの身体を食べはじめ、やがては細胞膜が破れ死を迎えると、

アミノ酸が生まれてワインの旨味になります!

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次に、酵母はアルコール度数が15度以上だと活動できないという特性を利用したものがあります!

これはアルコール度数の高いブランデーなどのお酒をワインに加えることで酵母の活動を止め、甘口ワインを作るという方法です!
こうして作られたワインを、フォーティファイドワインと分類されています。

アルコール度数も高くなり、保存性も高くなるためウイスキーのような扱いで、家に置いておけるワインになります。

また、この時に添加されるブランデーは甘みが含まれるものは使用されないため、甘みはブドウ本来のものである点は注意が必要です。

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最後にワインに甘味を添加する方法です!
甘口ワインやフォーティファイドワインの2つは、甘みや風味自体は自然本来のぶどうに由来するものでした。
これは甘み・風味を外部から添加したワインです。

一般的にはフレーヴァードワインと呼ばれています。

 

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   (写真はサングリア)

 

フレーヴァードワインの有名銘柄を紹介しておきます!

 

・ヴェルモット
…イタリアやフランスで作られるフレーヴァードワインで、白ワインをベースにして香草や薬草で独特の風味をつけるものが特徴。

・リレ
…フランスのボルドー地方で作られるフレーヴァードワイン。
 赤ワインや白ワインで果実やハーブ類、スパイス、甘味料など豊富な素材で風味付けされる。

・レッチーナ
ギリシャで作られるフレーヴァードワインで、白ワインをベースに松脂で風味付けをした独特なワイン。

・サングリア
…日本でも多く普及しているスペインのフレーヴァードワイン。
 ワインに果実や甘味料を漬け込んで風味を加える。

・ズースレゼルヴェ
…ドイツで用いられる手法で、英語で言うとジュースリザーブ
 発酵をさせないぶどう果汁(ジュース)を保存(リザーブ)して、ワインの甘みを調整したもの。

 

甘みを添加したワインとなると、リレ、サングリア、ズースレゼルヴェを探すといいかもしれませんね!

 

因みに日本の酒税法は、無免許で意図的にアルコールを発生させることを禁止しているので、注意してください!